優しさとは
好きな異性のタイプは?どの年代でも1位の
「優しい人」
この「優しい」って、人によって違いますよね。
良かれと思ってした「優しさ」が、相手にとっては「お節介」だったり。
時には「迷惑」であることも・・・。
この人「優しいなぁ」と私が感じた人がいます。
私の勤務先の工場内は空調設備が無く、火を使うので現場はとても暑く、作業者の熱中症には、各自はもちろん会社もとても気を遣います。
ある夏の猛暑の日、一人の現場作業者が熱中症と思われる症状で体調が悪くなりました。
涼しい部屋である事務所内に横になれるスペースを設け、その男性はそこで休むことになりました。
みんなこの場所が良いのではないか?あっちの部屋が良いのではないか?
その人のことを心配して動きます。
そして、あらゆる手当をして、とにかく横になるよう促されたその彼は、本当にしんどそうで、でも申し訳なさそうに寝ていました。
現場の人は普段事務所に来ることがほとんど無いので、涼しいけれども何となく居心地が悪そうでした。
すると、そのことを聞きつけた色んな人が、次々と飲み物を持って彼のところに声をかけに来ました。
「大丈夫か?」と声をかけ、「コレを飲んでおけよ」と飲み物を置いて帰っていきます。
その度に、横になっていた彼は起き上がり、「すみません。ありがとうございます」と返事します。
彼の傍には、沢山の飲み物が並べられています。
数人の人はそうして様子を見に来ました。
私は、それを見て
「全然休めないじゃん!」
と、少し腹立だしい気持ちになっていました。
すると、見舞客の波が落ち着いたころ、ある男性も様子を見に来ました。
その人は、そ~っと近づいて何も声を掛けず、そして飲み物を黙って置いて帰っていきました。
休んでいる彼はその人が来たことに気付いていません。
私はその一連の行動を見た時に、「これぞ優しさよね!」と思いました。
もちろんこの感情は私の主観であり、私が思う「優しさ」です。
休んでいる人は、ただでさえ他の人に申し訳なさを感じているのに、見舞いに来たら謝らざるを得ません。
不調だから休んでいるのに、次々来たら休めないじゃん!
飲みたくもないコーヒーや、こんなにポカリスウェットもらっても全部飲めねーよ!
いちいちお礼を言わせるな!
と、私は勝手に思っていたのです。
休んでいた彼がどう思っていたかは知りません。
ですが、黙って置いて行ったその人が、
自分が来たことを知らなくても良い。
お礼を言われなくても良い。
大丈夫そうだな、と様子が分かっただけで良い。
と思っているような行動に見えて、
無言で静かに帰ったその人に、私はとてつもなく感動しました。
佐賀のがばいばあちゃん
その時に頭に浮かんだのが、「佐賀のがばいばあちゃん」です。
島田洋七さんと、島田さんの祖母である「すごいおばあちゃん」とのお話です。
この中で、おばあちゃんの言葉が私はとても印象的で心に刻まれています。
「人に気付かれないのが本当の優しさ、本当の親切」
人に親切にすると、私はこんなことをしてあげたんだよ、と言いたくなるような恩着せがましい気持ちになっていた腹黒の私には、すごく衝撃的で、でも納得の言葉でした。
私が黙って帰って行った人に感じた優しさが、この「気付かれない優しさ」だったからです。
見舞いに来て声を掛け行く人も、その彼を気遣う優しい人達なのは間違い無いんです。
ですが、優しさを相手に分かってもらうよう表現しているようで、私にはしっくりこなかった。
就職先の先輩
私が新卒社会人として働いた先は銀行でしたが、配属先は男性ばかりの営業部。
そのフロアーには女性の先輩が二人、私を含め三人しか女性がいませんでした。
私の教育指導者の先輩Aさんは、口調がおっとりしており、支店長の秘書も兼任していたので、よく気が付くとてもふんわりとした優しそうな雰囲気の女性でした。
もう一人の先輩Bさんは、あまり社交的ではなさそうな不愛想な方で、話しかけにくい雰囲気の方でした。
私は指導者のAさんが、優しそうで話しかけやすいこともあり、分からないことは何でも聞いていました。
ですが、月日が経つとAさんがちょっと意地悪な世渡り上手であることが分かりました。
そしてBさんの方が実は面倒見がよく、本当は「優しい人」だと分かってきたのです。
その後、どんな職場でありどんな人間関係でも私が悟ったのは、
「最初に親切にしてくれる良い人よりも、気難しそうな人の方が実は優しい人が多い」
でした。
これは私が出会った人の結構な割合で当てはまりました。
今日は何となく、「優しい人」に思いを巡らせてみた一日でした。
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